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街を歩くことで完成する
ファッション哲学

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時は1950年代アメリカ。

 

戦後取り入れられた全体主義の反動から、ロックンロールをはじめとするさまざまなカウンターカルチャーが解き放たれ、工業製品に関してもテレビをはじめとする家庭用電化製品、宇宙開発の煽りを受けたスペーシーなデザインの大型車など、各領域においてそれまでになかった新しい何かが生まれた時代である。

 

メンズファッションにおける「カジュアルウエア」の原型もそんなイノベーションの巣窟ともいえる時代に誕生を迎えることになる。

 

’50年代のカウンターカルチャーの追い風もあり、ワークウエアやミリタリーウエアなどの、いわば機能のためにつくられたウエアが、外出するために意図的に身に着ける街着としての用途を担うようになったのだ。

 

それまでは、いわゆる外出するにあたっての男性の装いはジャケットスタイルほぼ一択であったことも考慮すると、このことがメンズファッションの歴史に与えた影響値は言うまでもない。

 

そしてあれから半世紀以上の時が経ち現代。

 

メンズファッションにおけるウエアの種類は当時とさほど変わらないものの、それらを着こなすにあたってのスタイルは、さまざまなものが生まれ、すべては人々が行き交うストリートにおいて進化を遂げている。

 

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今回紹介するのは日本のストリートシーンを長らく見続け、現在はアパレルブランド「Andfamilys Co.」の代表を務める村上游さんだ。

 

数ある男性ファッションのスタイルの中でも、彼のつくるウエアやスタイルは、’50年代をはじめとしたメンズウエア黎明期のウエアの良い部分をうまく活かしながらも現代にうまく落とし込んだものが多いのが特徴だ。

 

そんな村上游さんに、ストリートにおけるファッションの移り変わりと街を「歩く」ことの相関性を語ってもらった。

 

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「ファッションはストリートで進化するもの。街を歩く人々がお互い刺激しあって時代をつくっていくんです。」

 

僕からみたストリートファッションの魅力は、理屈では説明できない面白いものが突発的に生まれる可能性を秘めている、ということですね。

 

特にウエアやアイテムに関する情報が充実していなかった時代はそれが顕著でした。

 

今と違ってWEBで自分の理想のスタイル見本を探して、各スタイルの正解を知るなんてことができない時代ですからね。

 

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半世紀以上前に本来は労働着として生まれたデニムを、誰かが『カッコいいもの』としてファッション感覚で取り入れて定着させたように、日本のストリートにおいても突拍子もない着こなしがいっぱい生まれていたんです。

 

僕のブランドがつくっているウエアは、半世紀以上前にアメリカでつくられたウエアをモチーフにデザインしているものが多いのですが、そういったストリートファッションならではの面白さや感動が身に染みているからこそ、何かしら現代ならではの斬新な進化をすべてのアイテムに少しずつ取り入れることを徹底しています。

 

ファッションってヒトから見られてはじめて価値を発するものですし、やはり街を行きかう人々が互いに影響しあって新しいものを生んでいくと思うんです。

 

だからこそ、僕たちがつくったウエアがいまのストリートシーンに一石を投じられればと、いつもそんな心づもりでウエアづくりにのぞんでいるんです。

 

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「身に着けるものにこだわりをもつことが、外に出て歩くモチベーションへとつながるんです。」

 

極端なことをいえばファッションにこだわることって、生きていく上でムダなことでもあるんです(笑)

 

こだわりがなければいくらでも低コストでウエアを手に入れることができる時代ですしね。

 

でも、そのムダなものへのこだわりにこそ、実は生きることを楽しむ本質な魅力があるんじゃないかなと、僕はそう思っています。

 

これはファッションに限った話ではありませんが、やはり時間と労力をしっかり割いてつくられたものと、そうでないものでは圧倒的にクオリティに差が出ますし、何よりも良いものを手にしない限り良いものを選ぶことはできないし、自分以外のヒトが大事にしている良いものにも気付けないですからね。

 

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そして、何かにこだわることは究極の自己満足ではありますが、ことファッションにおいてはその自己満足が時に人々を外に連れ出し、時にコミュニケーションを生むきっかけにもなることもあるので面白いなと。

 

僕は歩くことが好きで、犬の散歩も兼ねて毎週10キロほど歩くのですが、毎回同じルートをたどるとつまらないのでとにかくいろんな場所へ行くんです。

 

そしてその度に新しい何かしらの場所を発見して、ここにはどんなウエアを着ていくのが合うか思いを馳せるのですが、逆にこんなウエアを着たいから今日はあんな場所を探そうって時もある。

 

特定のウエアを着ることがどこかへ行く目的になるというのもファッションの魅力だと思います。

 

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ファッションの本質的な面白さをさまざまな観点から語ってくれた村上游さん。ヒトや場所、モノ、歴史とのコミュニケーションの中で磨かれ続ける彼のスタイルは、今後もウエアを通して次世代へと受け継がれていくことだろう。

 

 

Andfamilys Co. 代表/村上游

1967年生まれ。渋カジ、裏原ブームから現在にいたるまで、常に最前線にてストリートに様々な提案をしてきた業界のご意見番。現在は自身のブランド「Andfamilys Co.」Mr.GOODMAN & PARTNERS」の代表を務める。

 

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